子どもにまた怒鳴ってしまった。
そんな夜、ありませんか。
ご飯を食べなくて。泣き止まなくて。何度言っても同じことをして。
気づいたら、自分でも引くくらい大きい声が出てた。
静かになった部屋で、罪悪感だけが残る。
ワンオペって、気づかないうちに余裕が全部消えていくんですよね。
消えたとき、いちばん近くにいる子どもにぶつけてしまう。
それがまた自分を削っていく。
この記事では、そういう夜に私が読んで「ちょっと楽になれた」漫画を4冊ご紹介します。
読み終わった後、なんとなく子どもの顔をもう一度ちゃんと見たくなる。
そういう共通点がある作品たちです。
ネタバレ注意
印象的なシーンやセリフに触れています。
何も知らずに読み始めたい方はご注意ください。
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①ハネチンとブッキーのお子さま診療録
こんな先生が近所にいたら、どれだけ救われるだろう
ある日突然、妻を亡くした。
サラリーマンの羽根田優希(通称ハネチン)は、くも膜下出血で妻を突然失い、4歳の息子・みちると0歳の娘・いちかをひとりで育てることになります。
悲しむ暇もない。泣く間もない。
そんなある日、電車の中で息子の体調が急変。 たまたま隣に座っていたのが、デスメタルのような異様なメイクをした青年でした。
その人が、小児科医の琴吹正尊(通称ブッキー)先生だったんです。
見た目はかなりインパクトがあるのに、子どもへの接し方がとにかく優しい。 焦っている親に対しても、責めるでもなく、急かすでもなく、ただ静かに寄り添ってくれる。
読みながら何度も思いました。 こんな先生が近所にいたら、どれだけ救われるだろう、って。
物語はハネチンとブッキー先生を中心に、さまざまな親子のエピソードが積み重なっていきます。 出てくる大人たちが、みんなそれぞれいっぱいいっぱいなんですよ。
子育ての価値観も、関わり方も、みんなバラバラ。 正解も不正解もない中で、それぞれが必死に頑張っている。
その姿を見ていたら、「違うやり方だっていい」と、ふっと肩の力が抜けました。
特に泣いたのが、亡き妻がみちるのリュックに忍ばせていた手紙のシーン。
ハネチンへの感謝と、「あなたはきっといいパパになる」という言葉が綴られていて。
読みながらぼろぼろ泣きました。
ブッキー先生の言葉ひとつひとつが、じわじわ沁みてくる作品です。
子どもへの声のかけ方を、もう一度丁寧にしようって改めて思えました。
お子さんの体調不良(誤飲・中耳炎・起立性調節障害など)に関する知識も自然に出てくるので、育児の参考にもなりますよ~!
こんな人におすすめ
育児に自信をなくしているとき
②そんな家族なら捨てちゃえば?
「マトモじゃない大人たち」を眺めながら、自分を見つめ直す
タイトルから、だいぶ強い…!
主人公の篠谷令太郎は、一見普通のサラリーマンです。
でも彼の家には、信じられないルールがある。
妻と食事は一緒にとらない。
挨拶しない。
ドアの音を立てない。
トイレは使えない。
廊下に貼られたセロテープの内側でしか生活できない。
妻の和美と娘の一花から、まるで存在しないように扱われながら、令太郎は「どうしてこうなったんだろう」と首をひねっています。
これ、DVなんですよね。 殴られるとか怒鳴られるとかじゃない、静かで見えにくい種類の。
登場する大人たちが、かなりクセが強くて。 「いるいる、こういう人」って思いながら読める場面がたくさんある。
でも読んでいるうちに、ふと。 「自分にも、こういう部分あるかも…」 ってドキッとする瞬間が来るんです。それがこの作品の怖くて面白いところで。
令太郎自身は、不思議なくらい冷静で感情的にならない。 謎解きやクイズをSNSに投稿しながら、日々を淡々と観察している。
夫婦ゲンカになりそうなとき、「令太郎だったらどう見るかな」と頭の中で呼び出したくなりますw
「人間ってこんなにも複雑なんだ」と変に納得できる、不思議な読後感がある一冊です。
こんな人におすすめ
パートナーとの関係に疲れているとき
少し客観的な目線を取り戻したいとき
③じゃあ、あんたが作ってみろよ
「当たり前」にしてもらっていた優しさに、やっと気づく話
「女の幸せは、家で料理を作って愛する人の帰りを待つことだ」
そう信じて疑わない昭和気質の男、海老原勝男。
6年間、同棲相手の山岸鮎美の手料理を毎日食べながら、「しいて言うなら、おかずが茶色すぎるかな」と”アドバイス”してきた男です。
そんな彼がある日、鮎美にあっさり別れを告げられる。 「んー、無理」というひと言で。
理由がわからないまま、勝男は初めて自分で料理を作ってみます。 筑前煮。大失敗。 冷蔵庫に残っていた鮎美の完璧な筑前煮を見て、初めて泣く。
そこからです、この物語が始まるのは。
鮎美も実は、「モテ」のために自分の好みや本音をずっと消して生きてきた女性でした。
ふたりがそれぞれの「当たり前」の呪いから、不格好でも少しずつ自由になっていく様子が、温かくて。
印象に残っているのが、勝男が自分の父親と向き合うシーン。
昭和男の価値観をそのまま体現したような父親の前で、それでも自分が作った料理を差し出そうとする。
うまくいかないかもしれない、恥ずかしいかもしれない。
それでも変わろうとする姿の伝え方が温かくて、泣けました。
人ってアップデートできるんだ、って素直に思えた。 それが嬉しかったし、自分の中の「当たり前」も見直したくなりました。
パートナーへの感謝、子どもへの接し方。 読んだあと、もう一度ちゃんと考えたくなる作品です。
こんな人におすすめ
相手の優しさを無意識に当たり前にしていると感じるとき
人に優しくなりたいと思っているとき
④青野くんに触りたいから死にたい
読む前にご確認ください
ホラー・グロテスク描写・性的な表現を含む作品です。 自死・児童虐待を連想させる描写もあります。苦手な方・お子さんには向いていません。 他の3作とは大きく毛色が違いますが、「子どもへの向き合い方」を深く考えさせられた作品として、個人的な感想としてご紹介します。
名作です。でも、刺さり方が全然違う。
高校生の刈谷優里は、告白してから2週間で彼氏の青野龍平を事故で失います。
泣きながら後を追おうとしたとき、幽霊になった青野が現れて言う。
「そばにいるから、死なないで」
そこから始まる、幽霊との純愛の物語。
最初はキュンとする場面もあるし、ちょっとコミカルなやりとりもある。
でも読み進めるうちに、どんどん暗く、重く、怖くなっていきます。
青野くんの家庭環境が、かなりしんどい。
お母さんの瞳さんは、夫に先立たれて突然シングルマザーになった女性です。
仕事もうまくいかない。頼れる人もいない。
少しずつ余裕を失っていって、気づいたら子どもに強く当たるようになっていた。
親の目線で読むと、怖い。
「余裕がなかったら、誰でもこうなってしまうかもしれない」という怖さ。
「自分だって、追い詰められたら」という怖さ。
青野くんが弟を守るためにとってきた行動の深さを知ったとき、胸が締め付けられました。
優しい人が、なぜそんなに優しくなれたのか、という背景が切なくて。
作中に出てくるこの言葉が、読んだあとずっと頭を離れませんでした。
「どれだけ犠牲になっても愛されない。犠牲にならなくても愛される」
子どもへの愛し方って、なんだろう。 愛しているつもりで、追い詰めていないだろうか。
今思い出しても胸が苦しくなる。でもそれだけ、大切なことを考えさせてもらえた作品でした。
こんな人に(慎重に)おすすめ
ホラー・成人向け描写が大丈夫な方
子どもへの関わり方を深いところから考えたい方
まとめ ー 疲れた夜に漫画を開くのは、補給だと思う
ワンオペで疲れた夜に漫画を読むって、現実逃げている気がして後ろめたいこともありますよね。
でも今回の4冊を読んで、そうじゃないなって思えました。
子どもへの声のかけ方を大切にしようって思えたり。 パートナーへの感謝が足りていなかったと気づけたり。
「余裕がなかったら誰でも」という怖さを、自分事として受け取れたり。
逃げているんじゃなくて、補給している。
削られた自分に、少しだけ栄養を与えてくれるものが、漫画の中にある気がします。
子どもが寝たあとの静かな時間に、ぜひ一冊、ページを開いてみてください。



