産前の私は、ぽっこのことが本当に大好きだった

うちには、一昨年亡くなってしまいましたが、コザクラインコのぽっこがいました。
顔はオレンジで、他は濃い緑。
雛のころから挿し餌して育てた、大事な大事な子です。
大事に育てたくて、ぽっこをお迎えした事をキッカケに、「バードライフアドバイザー」の資格も取りました。
毎日2回体重を量って、
ごはんは早食いしちゃう子だったので3回に分けて。
放鳥も1日2回。
ケージも毎日洗っていました。
噛むとめちゃくちゃ痛い子だったけど、お世話を続けるうちに、私のことは噛まなくなって。
手のひらにぐりぐり頭を押しつけてきて、「撫でて」と甘えてくる子でした。
水浴びはちょっと下手で、頭しか濡れてない時もあって。
それなのに「今日も浴びてやったぜ!」みたいなどや感出してて。
そんなところまで、ほんとうにかわいかったです。
私が里帰りするまでは、夫にはほとんど懐いていませんでした。
放鳥しても、あまり飛ばずに私の指に乗っていることが多くて。
だから1人目の出産で里帰りする時、ぽっこをどうするかすごく迷いました。
一緒に連れて行くことも考えたけれど、
- 実家の父と母が生き物に慣れていないこと
- 実家には観葉植物が多く、インコにとって危ないものもあること
- 真夏の飛行機移動になること
を考えて、夫にお願いすることにしました。
でも、離れるのは本当につらかったです。
里帰り中は、アレクサでいつでもぽっこを見られるようにして、夫の帰りが遅い日はアレクサ越しに声をかけていました。
それくらい、ぽっこのことが気になっていたし、大事でした。
はねママぽっこをお迎えしてから旅行にも行かず、あの頃は当たり前に毎日一緒に過ごしていました。
でも出産してから、気づけばぽっこのことを見なくなっていた


出産してから、私はいっぱいいっぱいでした。
子どもがかわいくて、かわいくて、涙が出ることもありました。
その一方で、時間があれば寝たかったし、とにかく休みたかった。
里帰り中、あれだけアレクサ越しに見ていたぽっこのことも、気づけば前ほど見なくなっていました。
そして、2か月の里帰りを終えて家に戻ってから。
私は、ぽっこのことを前みたいにかわいく思えなくなっていることに気づきました。
鳴くと、
「子どもが起きちゃうじゃん」
とイライラする。
放鳥が面倒で仕方ない。
放鳥中にオムツ替えをしなきゃいけない時、指に止まろうとするぽっこが鬱陶しく感じる。
そんな自分が、すごく嫌でした。
最低だなと思っていました。
でも、どうしても、前みたいに戻れなかったんです。
私は、お世話そのものをやめたわけではありません。
- 1日2回の放鳥
- 体重測定
- ごはんを分けてあげること
- 年1回の健康診断
当たり前ですが、そういうことは、それまでと変わらず続けていました。
でも、前みたいにたくさん声をかけたり、
ただかわいくて見つめたり、
そういう“気持ちのほう”が、明らかに減っていたと思います。
あの頃の私は、
自分の愛情って上限があるのかな
と本気で思っていました。
子どもが大事になった分、ぽっこに向けるものがなくなってしまったのかな、と。
「私って冷たいんだ」と思っていたけれど、似た話は海外研究にもあった
このことは長いあいだ、ずっと不思議でした。
でも調べてみると、周産期とペットの関係を直接扱った研究自体はまだ少ないものの、海外では「赤ちゃんが生まれたあとに、ペットとの関係や気持ちが揺れた」と話す母親たちの報告がありました。
2025年の質的研究でも、この分野はまだ研究が十分でないことが示されていて、参加者の多くは犬か猫の飼い主でした。
つまり、インコでそのまま同じとは言えないけれど、少なくとも“出産後にペットへの気持ちが変わって苦しかった”という体験そのものは、珍しすぎる話ではなさそうでした。
同じ研究では、母親たちが「前よりペットにかけられる時間が減った」「以前ほど近く感じられなくなった」と話していた例もありました。実際に、「子どもが生まれてから、犬に前ほど気持ちを向けられない」「赤ちゃんのことで精一杯で、猫にまで気を配る余裕がない」といった声も紹介されています。
これを読んだ時、少しだけ救われました。
ああ、あの時の私は、
ただ冷たい人間になったわけじゃなかったのかもしれない、って。



研究がある=正当化、ではないけど、言葉にされている体験なんだと思うと少し違うなと思いました。
産後は、赤ちゃんに意識が強く向きやすい時期でもあるらしい


出産後って、赤ちゃんのことが頭の大部分を占めやすい時期でもあるそうです。
研究では、親は産後1か月ごろ、赤ちゃんについての考えや気がかりがとても強くなり、それが3か月ごろにかけて少しずつ落ち着いていくことが示されています。特に母親のほうが、その傾向が強く出ていました。
それに加えて、産後は
- 気分が揺れやすい
- 不安や焦りが強くなる
- 眠れる時に眠りたい
- やっと寝た赤ちゃんを起こしたくない
みたいな状態にもなりやすいです。NHSでも、産後は数日〜2週間ほど気分の落ち込みや不安、イライラが出ることがよくあり、睡眠不足も関わると案内されています。
そう考えると、あの頃の私が、ぽっこの鳴き声にピリッとしてしまったこと。
放鳥の時間を「かわいい」より「しんどい」と感じてしまったこと。
あれは、ぽっこへの愛情がゼロになったというより、
赤ちゃんを守ることと、毎日を回すことに、頭も心もキャパも全部持っていかれていたのかもしれません。
でも、だから仕方ないと簡単に言いたいわけでもない
ここ、すごく難しいところなんですが。
私は今でも、
「研究でもあるみたいだし、仕方なかったよね」
とだけは言いたくありません。
だって、あの頃のぽっこは確かにそこにいて、
私の変化に巻き込まれていたからです。
お世話は続けていた。
健康診断にも連れていっていた。
それでも、前みたいに声をかけられなかった。
前みたいに指に乗ってくることを、まっすぐ喜べなかった。
それを思い出すと、今でも胸が痛いです。
2人目が生まれた時、私は
「1人目と2人目、どちらが大事か」
なんて考えませんでした。
順番なんてつけられないくらい、どちらも大事でした。
だからこそ、1人目出産後のぽっこへの気持ちの変化は、
“愛情の総量がなくなった”では説明しきれない何かだったんだと思います。
本当に不思議だったし、悲しかったし、苦しかった。
そして、ぽっこもさみしかっただろうなと思うと、今でも反省します。
責めないことと、開き直ることは違う。
私はこのことを、そういう気持ちで書いています。
あの頃の自分に言うなら、「もっと人に頼ってよかった」
もしあの頃の自分にひとつ言えるなら、
もっと人に頼ってよかった
ということです。
研究でも、赤ちゃんが生まれてからペットを優先できなくなった時、パートナーや家族がペットの世話を一緒に担ってくれると、罪悪感やストレスが少なかったと示されています。
だから、あの頃の私はもっと、
- 鳴き声がつらい
- 放鳥がしんどい
- 前みたいにかわいいと思えなくて苦しい
って言ってよかったんだと思います。
それは、ぽっこを大事にしていないからじゃなくて、
大事にしたいのに苦しいからこそ、言ってよかった。
もし同じような気持ちを抱えている人がいて、しかもそれが
- 強い落ち込み
- ずっと続く不安
- イライラ
- 自分責め
- 眠れなさ
みたいなものと重なっているなら、産後のメンタル不調として相談していいことでもあります。
NHSでも、気分の落ち込みや不安、イライラ、罪悪感、睡眠の問題が続く時は、GPや助産師、ヘルスビジターなどに相談するよう案内しています。



頼るのは甘えじゃなくて、関係を守るためでもあるのかも。
まとめ|大好きだったことも、苦しくなったことも、どちらも本当だった


私は、ぽっこのことが大好きでした。
雛のころから育てて、
毎日体重を量って、
ごはんを分けて、
放鳥して、
甘えてくる姿に何度も幸せな気持ちをもらっていました。
それは本当です。
そして、出産後、前みたいにかわいく思えなくなって苦しかったことも、本当です。
どちらか片方だけを本当の気持ちにしなくていいんだと思います。
大好きだった。
でも、産後の私は苦しくなってしまった。
その矛盾ごと、あの頃の私だったのかもしれません。
もし今、同じようなことで自分を責めている人がいたら。
「そんなふうに思うなんてひどい」と切り捨てる前に、
まずは何が起きていたんだろうと見てみてほしいです。
赤ちゃんが生まれたあとは、思っていた以上に、心も生活も大きく変わります。
その中で、ペットへの気持ちまで揺れてしまうことがあっても、不思議ではないのかもしれません。
それでも、悲しかったことや申し訳なさまで、なかったことにしなくていい。
そういう気持ちも含めて、私は今、ぽっこのことを思い出しています。
参考リンク
- Human–Animal Interaction and Perinatal Mental Health(周産期とペット・母体メンタルヘルス研究のレビュー)
- Maternal perceptions of pets and attachment relationships in the perinatal period(2025年の質的研究・犬猫中心)
- Early Postpartum Parental Preoccupation and Positive Parenting Thoughts(産後早期は赤ちゃんへの意識が強く向きやすいこと)
- NHS: Postnatal depression(産後の気分の揺れ、不安、イライラ、睡眠の問題など)
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