娘は、わりと嘘をつきます。
しかも、親から見ると「いや、今見てたよ?」という時にも、
「してないよ!」
と言うことがあります。
洗面所のまわりが水浸し。
おもちゃが壊れている。
兄と喧嘩して、兄が「妹が〇〇してきた!」と言っている。
そんな時に、
「どっちがやったの?」
と聞くと、
「わかんな〜い」
「してないよ!」
と返ってくることがあります。
正直、イラッとする時も。
母の中の小さな探偵が、トレンチコートを着て立ち上がります。
でも、子どもの嘘にはどんな理由があるのか。
嘘だと分かった時、どう対応するのがいいのか。
今回は、子どもの「してないよ!」にイライラした時の向き合い方を考えてみました。
娘の「してないよ!」が嘘だと分かる日がある

娘が嘘をつくのは、だいたい怒られそうな場面です。
こちらが見ていない時もあれば、親が見ていて「今やったよね」と分かっている時もあります。
特に、兄と喧嘩している時は分かりやすいです。兄が「妹が〇〇してきた!」と言い、娘がすぐに「してないよ!」と言う。
でも親は見ていた。
していた。
現行犯です。
こういうことが続くと、親の中でどうしても信用度に差が出てきます。
兄はあまり嘘をつかない。
娘は、ちょこちょこ「してないよ」と言う。
そうなると、よくないと思いつつも、「また娘かな」と思ってしまう自分がいます。
でも、娘を「嘘つき」と決めつけたいわけではありません。
ただ、毎回「してないよ!」と言われると、こちらも疑いのメガネをかけてしまう。
そのメガネ、外したい。
でも勝手に装着される。
ここが、地味にしんどいところです。
はねママ「いやいやいや今目の前でやってたでしょ!」みたいなこと、よくある。
子どもはなぜ嘘をつくのか
子どもの嘘には、いろいろな理由があるようです。
怒られたくない。
その場を逃れたい。
相手の反応を見たい。
本当のことを言ったら大変なことになる気がする。
娘の場合は、たぶん「怒られたくない」が大きいのかなと思います。
洗面所が水浸し。
おもちゃが壊れている。
兄が泣いている。
親の声色が少し変わる。
その瞬間に、娘の中で小さな警報が鳴るのかもしれません。
「あ、これ怒られるやつかも」
そこで、とっさに
「してないよ」
「わかんな〜い」
が出る。
大人のように計画的に嘘をついているというより、危機回避ボタンを押している感じなのかもしれません。
子どもの嘘について調べると、2〜3歳ごろから嘘をつき始めることがあり、4〜6歳くらいでは嘘が増えたり、少し上手になったりすることもあると紹介されています。
つまり、幼児の嘘は「性格が悪いから」ではなく、発達の途中で出てくる姿でもあるのだと思います。
もちろん、だから何でも見守ればいいという話ではありません。
でも、まずは「悪い子だから嘘をつく」と見るより、「まだ本当のことを言う練習中」と考えた方が、親の怒りも少しだけ下がる気がします。
嘘は「発達してきた証拠」でもあるらしい
嘘というと、どうしても悪いことに見えます。
でも、嘘をつくには、実はいろいろな力が関わっているようです。
たとえば、
- 自分は本当のことを知っている
- 相手はまだ知らないかもしれない
- 違うことを言えば、この場を変えられるかもしれない
- その言葉を言い続ける必要がある
こういうことを、子どもなりに使っている可能性があります。
子どもの嘘と、「相手が何を知っているかを考える力」や「自分の反応を抑える力」との関連を調べた研究もあります。
そう考えると、嘘は困るけれど、発達の途中でもあるのかもしれません。
娘の「してないよ!」も、親からすると明らかに嘘です。
でも娘の中では、
「怒られたくない」
「この場をなんとかしたい」
「どう言えばいいか分からない」
という気持ちが先に来ているのかもしれない。
そう思うと、少しだけ見え方が変わりました。
「どっちがやったの?」は嘘を誘いやすいかもしれない


親としては、つい聞きたくなります。
「どっちがやったの?」
洗面所が水浸し。
おもちゃが壊れている。
床に謎の水たまり。
そりゃ聞きたいです。
でも、この聞き方は子どもにとって、かなりプレッシャーがあるのかもしれません。
子ども側からすると、
「今から犯人を決めます」
に聞こえることもありそうです。
家庭内裁判の開廷です。
裁判長、母。
被告、兄妹。
証拠、水浸しの床。
そりゃ「わかんな〜い」と言いたくなるのかもしれません。
本当は知りたい。
誰がやったのか分からないと、親もモヤモヤします。
でも、見ていなかった時は、犯人探しより先に状況を片付ける方がいいのかもしれないと思いました。
見ていない時は、犯人探しより後始末を優先する


見ていない時に「どっちがやったの?」と聞いても、正直な答えが返ってくるとは限りません。
それなら、まずは状況をそのまま伝えて、後始末に移る方が良さそうです。
たとえば、洗面所が水浸しだった時。
「水がいっぱいだね。ママは誰がやったか見てなかったから決めないよ。でも水は拭く必要があるから、2人で拭こう」
こんな感じです。
おもちゃが壊れていた時なら、
「壊れてるね。ママは誰がやったか見てないから決められない。これは危ないから一回しまうね。直せるか一緒に見よう」
兄妹どちらかが散らかしたか分からない時なら、
「見てなかったから、ママはどっちがやったか決めないよ。でも散らかっているから、2人で片付けよう」
見ていない時は決めつけない。
でも、後始末は一緒にする。
ここが大事なのかなと思いました。
正直に言わなかったら全部なかったことになる、では困ります。
でも、見ていないことを親の推理だけで決めつけるのも違う。
探偵より、まず雑巾。
母の中の小さな探偵には、一旦しゃがんで床を拭いてもらいます。



真実を突き止めたい気持ちはある。でもまず床が濡れてる。探偵より雑巾。
見ていた時は、質問せず事実を伝える


逆に、親が見ていた時は、質問しない方がいいと思いました。
たとえば、娘が兄を押したのを見ていた時に、
「押したの?」
と聞くと、娘に「してないよ」と言うチャンスを渡してしまいます。
親は見ている。
でも子どもは逃げたい。
そこで嘘が出る。
それなら、最初から事実として伝えた方がよさそうです。
「今のはママ見てたよ。妹ちゃんが押したね。押すのはだめ。嫌だったら『やめて』って言おう」
洗面所で水を出して遊んでいたのを見たなら、
「今、水で遊んでたの見たよ。水で遊ぶ場所じゃないから、ここは拭きます。次から手を洗ったら水を止めてね」
この時、「嘘ついたでしょ!」を主役にしすぎない。
もちろん嘘はよくないです。
でも、そこで嘘を責めすぎると、「本当のことを言う=怖い」になってしまいそうで。
だからまずは、見ていた事実を淡々と伝える。
その上で、何をしてほしいかを短く言う。
「本当と違うことを言わなくて大丈夫。やったことは一緒に直せるよ」
このくらいの言葉を、少しずつ渡していきたいです。
嘘だと分かった時に避けたい言い方
嘘だと分かった時、言いたくなる言葉があります。
「嘘つかないでよ!」
「なんで嘘ばっかりつくの!」
「嘘つきじゃん!」
「本当のこと言いなさい!」
言いたくなる。
本当に言いたくなる。
洗面所が水浸しで「わかんな〜い」と言われたら、母の心の中はもう取り調べ室です。
でも、「嘘つき」と子ども自身を決めつける言い方は、できれば避けたいと思いました。
子どもが「私は嘘つきなんだ」と思ってしまうと、そのままその役に入り込んでしまうかもしれないからです。
言うなら、
「今の話は、本当と違うね」
くらいにしたい。
子ども自身を否定するのではなく、今の言葉が本当と違うことを伝える。
ここは意識したいです。
使いたい言い方


嘘だと分かった時は、こんな言い方をしてみたいです。
- 「今の話は、本当と違うね」
- 「ママは見てたよ。〇〇したね」
- 「本当のことを言ってくれた方が、一緒に直せるよ」
- 「嘘で隠すより、やった後どうするか考えよう」
- 「言ってくれてありがとう。じゃあ一緒に片付けよう」
大事なのは、「正直に言っても、この世界は終わらない」と子どもが思えることなのかもしれません。
本当のことを言ったら、親がもっと怒る。
そう思うと、子どもはますます隠したくなる気がします。
だから、正直に言えた時は、まずそこを拾いたいです。
「教えてくれてありがとう」
「本当のこと言えたね」
「じゃあ一緒に拭こう」
ただし、正直に言えたら全部なかったこと、ではありません。
水浸しなら拭く。
おもちゃを壊したなら直す。
叩いたなら謝る。
散らかしたなら片付ける。
正直に言えたことは褒める。
でも、やったことの後始末は一緒にする。
このセットが大事なのかなと思いました。



嘘をゼロにするより、正直に戻れる道を作りたい。母、道路工事中。
兄妹で信用度に差が出てしまう時に気をつけたいこと
正直なところ、兄と妹で信用度に差が出てしまうことがあります。
兄はあまり嘘をつかない。
妹は「してないよ!」が多い。
そうなると、何かあった時に、親の中でつい
「また娘かな」
と思ってしまう。
でも、それが空気として出すぎるのは避けたいです。
娘が「どうせ私が疑われる」と感じると、余計に守りに入って嘘をつくかもしれません。
だから、ここは分けたいと思いました。
見ていない時は、決めつけない。
「ママは見てなかったから、どっちがやったか決めないよ」
見ていた時は、曖昧にしない。
「今のは見てたよ。妹ちゃんがしたね」
兄の言い分も聞く。
でも、妹を最初から犯人扱いしない。
これは、親の中でも練習が必要そうです。
場面別に、こんなふうに言いたい


最後に、わが家で使えそうな言い方をまとめておきます。
洗面所が水浸し。でも見ていない時
「水がいっぱいだね。ママは誰がやったか見てなかったから決めないよ。でも水は拭く必要があるから、2人で拭こう。次から手を洗ったら、水を止めて床を見ようね」
おもちゃが壊れている。でも見ていない時
「壊れてるね。ママは誰がやったか見てないから決められない。これは危ないから一回しまうね。直せるか一緒に見よう」
見ていて、嘘だと分かる時
「今のはママ見てたよ。〇〇したね。本当と違うことを言わなくて大丈夫。やったことは一緒に直せるよ。でも叩くのはだめ。嫌だったら『やめて』って言おう」
正直に言えた時
「教えてくれてありがとう。本当のこと言えたね。じゃあ一緒に片付けよう」
こうやって書くと、きれいに言えそうに見えます。
実際の現場では、たぶんもっとバタバタします。
床は濡れてる。
兄は泣いてる。
娘は「してないよ」と言う。
親のHPは残り3。
それでも、言葉の引き出しが少しあるだけで、怒鳴る以外の選択肢が増える気がします。
まとめ|嘘を責めるより、正直に戻れる場所を作りたい


子どもの嘘に向き合うのは、正直しんどいです。
「してないよ!」
「わかんな〜い」
そう言われるたびに、親の中の探偵が出てきます。
でも、子どもの嘘は「悪い子だから」ではなく、怒られたくない・その場を逃れたい・どう言えばいいか分からないという、発達途中の姿でもあるのかもしれません。
もちろん、嘘をそのままにしたいわけではありません。
見ていない時は、決めつけない。
見ていた時は、淡々と事実を伝える。
正直に言えた時は、そこを拾う。
やったことの後始末は、一緒にする。
嘘をゼロにするより、本当のことを言っても大丈夫と思える場所を少しずつ作っていきたいです。
「嘘つかないでよ!」と言いたくなる日もあります。
たぶん、あります。
でもその時に、少しだけ思い出したい。
この子は、今、正直に戻る道を練習している途中なのかもしれない。
母もまた、探偵から道路工事係へ。
今日も雑巾片手に、正直への道を舗装していきます。
参考リンク
- Raising Children Network「Why do kids lie & what to do about it」
子どもは2〜3歳ごろから嘘をつき始めること、嘘への対応や「嘘つき」と呼ばないことなどが紹介されています。 - Sai L, et al.「Theory of mind, executive function, and lying in children: a meta-analysis」
子どもの嘘と、心の理論・実行機能との関連を整理したメタ分析です。 - Talwar V, et al.「The effects of punishment and appeals for honesty on children’s truth-telling behavior」
罰の予期や正直さを促す言葉が、子どもの真実申告にどう関係するかを調べた研究です。
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