“子どもを持つな”ではなく、“知っていてほしい”。うつを経験した人の妊娠・産後の話

この話は、ずっと書きたいと思っていました。

でも、どう書けばいいのか難しかったです。

「うつだった人の産後」と書くと、なんだかもう終わった話みたいでしっくりこない。
かといって、「今もうつです」と言い切るのも違う気がする。

たぶん私にいちばん近いのは、
“うつを経験した人”
なんだと思います。

私は10年以上前にうつになって、しばらく外に出られない時期がありました。
その後回復して、結婚して、出産して。
今は普通に生活しているけれど、それでも妊娠中や産後、そして今も、メンタルが崩れやすいと感じることはあります。

だから今日は、
うつを経験した人が妊娠・出産するとどうなるのか
を、私の体験をもとに書いてみたいと思います。

これは、
「だから子どもを持たないほうがいい」
という話ではありません。

でも、
産後うつのリスクが高くなりやすいことは、知っていてほしい
と思っています。

そのうえで、出産する選択も、しない選択も、どちらも間違いではない。
そんな記事にしたいです。

目次

うつを経験した人は、産後うつのリスクが高くなりやすいと言われている

まず最初に、ここはちゃんと書いておきたいです。

産後うつは珍しいものではなく、レビュー論文では新たに母親になった人の約13〜19%にみられるとされています。
また厚生労働省の母子保健向け資料では、精神疾患の既往、ソーシャルサポートの乏しさ、大きなストレスイベントが産後うつを起こしやすい要因として挙げられていて、日本の疫学研究では初産、妊娠中のうつ状態、孤立
もリスク要因として示されています。

だから、うつを経験したことがある人が
「妊娠や産後、大丈夫かな」
と不安になるのは、全然考えすぎではないと思います。

むしろ、その不安は自然なものです。

ただ、ここで言いたいのは、
リスクがある=絶対ダメ
ではない、ということです。

リスクはある。
でも、知っておくことで準備できることもある。
支えてくれる人や仕組みを先に考えておけることもある。

私は、そのために知っていてほしいと思っています。

はねママ

“心配しすぎかな”じゃなくて、“心配になるだけの理由はある”って思えたのは少し救いでした。

妊娠中、何もできない自分がつらかった

妊娠中、特につわりがひどい時期は、何もできない自分が本当につらかったです。

誰にも責められていないんです。
夫も優しかった。
「休んでていいよ」って言ってくれていた。

それなのに私は、
何もできない自分が役立たずみたいに思えてしまう
のがすごく苦しかった。

寝ているだけ。
家事もできない。
ごはんも作れない。
ただ気持ち悪くて横になっているだけ。

頭では「仕方ない」と分かっているのに、気持ちは全然追いつかないんですよね。

でも今なら思います。
お腹で赤ちゃんを育てるって、それ自体がものすごく大事な仕事だったんだなと。

あの時は何もしていないように思えていたけど、全然そんなことなかった。

ただ、その時の私はそこまで思えませんでした。

1人目の妊娠中は、つらいけれど、どこか穏やかでもあった

これは少し意外だったんですが、1人目の妊娠中は、つわりはつらかったものの、会社勤めを続けていた頃よりは心が穏やかだったかもしれません。

もちろん、しんどい日はしんどい。
でも当時は、まだ今すぐ見なきゃいけない子がいなかった。

休める時は休めたし、お腹の中の子に絵本を読んだりもしていました。

なんというか、
自分のペースでお腹の子を思える時間
はあったんですよね。

2人目の妊娠とは、そこがかなり違いました。

産後は、涙が止まらなかったり、夫がとにかく嫌になったりした

産後は、涙が止まらなくなったり、夫に対してすごくイライラしたりしました。

このあたりは、うつじゃなくても“産後あるある”として語られることが多いと思います。
実際、厚生労働省のこころの情報サイトでも、産後は急激な身体的変化、ホルモンの変化、育児という心理社会的変化が同時に起こるため、メンタルが不安定になりやすいと説明されています。

だから、涙が出ることや、夫と喧嘩が増えること自体は、私だけの特別な異常ではなかったのかもしれません。

でも、“あるある”で片づけるにはしんどすぎる時もあった、というのも本音です。

1人目の時は里帰りをして、1か月ほど両親がそばにいてくれました。
今思うと、あれにかなり支えられていたと思います。

それでも、子どもの育て方で母と泣きながら喧嘩したことがありました。
普段なら、そんなにぶつかることはほとんどない相手です。

だからこそ、
あれはかなりメンタルにきていたんだろうな
と今なら分かります。

たぶん私はその頃、子どもに何から何までしてあげたくて、
泣いたらすぐ抱っこして、
できるだけ丁寧に、100%で応えようとしていた。

でも、100%って、長くは続かないんですよね。

2人目の産後は、もっとしんどかった

2人目の産後は、1人目の時よりもはっきりしんどかったです。

子どもが2人になった途端、
100%なんて無理になりました。

上の子もいる。
下の子もいる。
お世話するだけでいっぱいいっぱい。

正直、1歳くらいまで
心から「かわいい!」と思えていなかったかもしれない
と、今振り返って思います。

もちろん、かわいくないわけじゃない。
でも、そのかわいさを感じる前に、
やることとしんどさが押し寄せていた感じでした。

スマホを見るだけで、趣味に時間を割く気になれなかった。
耳が騒がしくなるのが嫌で、好きな音楽も聴けなかった。

夫の前で
「助けてよ」って大泣きしたこともあります。

「もう全部嫌だ」
「消えてしまいたい」
と思う日もありました。

厚生労働省は、産後うつ病では時に自殺や無理心中のおそれもあるため注意が必要で、育児を抱え込ませない社会的サポートが重要だとしています。
また、親は親でない人より高いストレスを感じやすいことも報告されています。

だから、産後のしんどさって、
気の持ちようだけではどうにもならないんですよね。

はねママ

“かわいいと思えない自分が変なんじゃないか”って苦しかったけど、今思えば余裕が本当にゼロだったんだと思います。

それでも、育児がつらいだけだったわけではない

ここも、ちゃんと書いておきたいです。

ここまで読むと、
「育児ってただただつらいんだ」
みたいに見えるかもしれないんだけど、私にとっては本当にそれだけではなかったです。

歩き始めた子が、ぎゅっと足に抱きついてきた時。
「ママだいすき」って言ってくれた時。
ふとした瞬間の笑顔とか、思いがけない優しい言葉とか。

そういうのが、ちゃんと嬉しかった。

しんどさと幸せって、きれいに分かれていないんですよね。

ものすごくつらい日がある。
でも、すごく幸せだなって思う瞬間もある。

その両方がありました。

産前と産後で、自分の“生きる理由”の感じ方は変わった

私は今でも、
「もう完全に緩解しました」
とは、正直まだ言い切れません。

たぶんこれから先も、崩れやすい時期はあるんだと思います。

でも、産前と産後でひとつ変わったことがあるとしたら、
どれだけつらくても、子どものために生きなきゃ
と思うようになったことです。

これを「成長」と言うのかは、ちょっと違う気がする。
きれいな言葉にしすぎるのも違う。

でも、少なくとも
自分ひとりのために生きていた時とは、重心が変わった
とは思います。

それがいいことかどうかは、簡単に言い切れません。
ただ、産前と産後の自分は確かに少し違う。
それは本当です。

出産する選択も、しない選択も、どちらも間違いではないと思う

ここが、今回いちばん伝えたいところです。

私は、うつを経験した人に
「だから子どもは持たないほうがいい」
とは言いたくありません。

でも逆に、
「大丈夫だよ、産めば何とかなるよ」
とも言いたくないです。

リスクはある。
それは事実として知っていてほしい。

精神疾患の既往があること、妊娠中からメンタルが不安定になりやすいこと、産後はサポート不足や孤立が重なるとさらにしんどくなりやすいこと。
そういう情報は、持っていて損はないと思います。

そのうえで、
出産する選択も、しない選択も、どちらも間違いではない。
私はそう思っています。

どちらを選んでも、軽く決めたわけじゃないはずだから。
どちらにも、その人なりの理由があるから。

だからこの記事は、
「こうしたほうがいい」
ではなく、
“知ったうえで選んでほしい”
という気持ちで書いています。

もし今つらいなら、ひとりで抱えないでほしい

もし今、この記事を読んでいる方の中に、
妊娠中や産後で気持ちがかなり落ち込んでいたり、
「消えてしまいたい」と思うほどつらかったりする人がいたら、
ひとりで抱え込まないでほしいです。

こども家庭庁の産後ケア事業は、出産後1年以内の母子で、産後ケアを必要とする人が対象で、市区町村が実施主体です。
2022年度時点で約84%の市区町村で実施されていました。
また、厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSなどの相談窓口が案内されています。

産後ケアや自治体の相談、かかりつけの産婦人科、心療内科、精神科。
つながれる先は、思っているよりあるかもしれません。

「こんなことで相談していいのかな」ではなく、
しんどい時点で相談していい
と私は思います。

はねママ

“まだ頑張れるかも”のうちに頼るのって、実はかなり大事です。
限界がくると「助けて」すら言えない時もありますから。

まとめ|リスクを知っていてほしい。でも、それでも選ぶ気持ちも否定したくない

うつを経験した人にとって、妊娠や産後は、やっぱり少し特別な時期だと思います。

リスクはある。
実際、産後うつは珍しくないし、精神疾患の既往は大きなリスク要因のひとつです。
でも同時に、サポートや環境、妊娠中からの準備で変わる部分もある。

私自身、しんどかったです。
何もできない自分がつらかった。
涙が止まらない時期もあった。
助けてと泣いた日もあった。

でも、それだけではなかった。
幸せだなと思う瞬間も確かにあった。

だから私は、
リスクがあるからやめたほうがいい
とも、
大丈夫だから産んだほうがいい
とも言えません。

ただ、知っていてほしい。
そして、知ったうえで選んでほしい。

出産する選択も、しない選択も、どちらも間違いではない。
私はそう思っています。

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この記事を書いた人

2児育児に奮闘しながら、子育てに関する悩みや不安に寄り添い、育児に役立つ情報を発信しています。
読んだ人の気持ちが少しでも軽くなるような、やさしいブログを目指しています。

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